あの人といると心地いい理由
人との関係の中で、言葉にはうまくできないけれど、
「なぜかあの人といると心地いい」
「理由はわからないけど、また会いたくなる」
そんな感覚を持ったことはないでしょうか。
この“心地よさ”の正体は、実は目立たない優しさ=引き算の優しさにあるのではないかと、私は感じています。
■目立つ優しさと、目立たない優しさ
人との関係の中での優しさには、大きく2つあると思います。
ひとつは、足し算の優しさ。
たとえば――
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困っている人にすぐ手を差し伸べる
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褒めたり、励ましたりする
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何かをプレゼントする
これはとてもわかりやすく、「優しさ」として認識されやすい行動です。
そして多くの場合、すぐに相手の評価や感謝につながりやすいという特徴があります。
もうひとつは、引き算の優しさです。
たとえば――
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無理に話しかけない
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相手のペースに合わせてあえて沈黙を尊重する
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「これって面倒だろうな」と思う手間を、先に取り除いておく
こうした配慮は、何かをするというより、“何かをしない”という選択です。
だからこそ、目には見えづらく、言葉にもなりにくい。
■なぜ、引き算の優しさは“心地よさ”につながるのか?
それは、相手の中にある**無意識の「引っかかり」や「抵抗感」**を、そっと取り除いているからだと思います。
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質問攻めにされるのではないか
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頼んでもいないのに、過剰に世話を焼かれるのではないか
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「ありがとう」と言わないといけない雰囲気になるのではないか
そんな小さな“心理的ボトルネック”が、誰の中にもあります。
引き算の優しさは、それらを刺激せず、あらかじめ「ないようにしておく」姿勢です。
だからこそ、相手は気を遣わずにいられ、自然体でいられる。
「うまく説明できないけれど、なんだか安心する」という感覚が生まれるのです。
■時間のかかる優しさ、でも確かな優しさ
引き算の優しさは、すぐには評価されません。
目立たないし、言葉にならないからです。
けれど、時間が経つほどに効いてくる。
「あの人のところにいると疲れない」
「また会いたくなる」
そうした“後から効いてくる信頼”を育てていきます。
■まとめ:関係性の質は、「引いているかどうか」に宿る
もちろん、足し算の優しさも大切です。
とくに困っている人には、積極的な支援が力になることもあります。
ただ、日々の暮らしや仕事の中で人と向き合うとき、
押しつけず、詰めすぎず、相手の自由や余白を尊重する態度――
それが、言葉にしにくい“心地よさ”を生むのではないかと思います。
「あの人といると、なんかいい」
それは、目に見えない優しさが、そっと根を張っているからかもしれません。