心理的ボトルネックに気づく力 ――言われる前に取り除くという設計思想

業務改善の話になると、よく「ボトルネック」という言葉が出てきます。
ボトルネックとは、業務フローの中で一番細く、全体の流れを滞らせている部分のこと。
たとえば──

  • 書類が溜まって進まない

  • 判断が遅れている部署がある

  • 他の工程は速いのに、そこだけ妙に時間がかかっている

そうした“物理的な停滞”に気づき、改善することがボトルネック対策の基本です。

ですが、私が現場にいて感じるのは、本当のボトルネックはもっと見えにくいところにある、ということです。


■心理的な“引っかかり”こそが、見えないボトルネック

「書類の送付が面倒くさい」
「連絡のたびに恐縮する感じがある」
「細かいことを聞いたら嫌な顔をされそう」
「やり方がわからないのに、聞きにくい」

こうした“心理的な引っかかり”は、業務マニュアルには載っていません。
でも実際には、人の手が止まり、関係性が滞り、信頼構築を妨げる要因として、大きな影響を持っています。

つまり、「業務」ではなく「心の流れ」を止めている部分。
これこそが、見えないボトルネックなのです。


■言われる前に取り除いておく、という設計

たくさんの人と関わる在宅医療では、いかに心理的なボトルネックを事前に察知するかが重要になってくると考えています。

前回記事にした、足し算ではなく、引き算で示す優しさです。

たとえば当院では、訪問看護ステーションからの依頼に際して、
郵送や切手付き返信用封筒を求めず、メッセージやFAXで済むようにしています。

これは小さな工夫かもしれません。
でも、郵送代や切手代が痛いこと、毎回その準備をする手間が“ひっかかる”こと。
それを言われる前に察知し、取り除いておく。

それは単なる気遣いではなく、心理的ボトルネックを外す設計ととらえています。


■これはホスピタリティではなく、“設計思想”である

  • 「相手がどこで詰まるかを予測し、」

  • 「それが起きる前に構造を変えておく」

こうした態度は、気配りや優しさというより、
「スムーズな流れをつくる」思考です。

信頼関係とは、必ずしも目立つ行為やサービスによって築かれるわけではありません。
むしろ、「嫌だな」と思いそうなことが起こらなかった。
「不快なポイントが一つもなかった」。
そういう**“快の連続”によって、じわじわと育つもの**ではないでしょうか。


■結論:心理的ボトルネックを外せる人が、関係の流れをつくる

●行動が止まるところには、必ず“心理的な引っかかり”がある
●それに先回りして手を打てる人が、信頼と選ばれる理由をつくる

それは単なる「やさしさ」ではなく、
洞察力、感受性、構造把握力の結晶なのだと思います。

言葉にならないストレスを取り除いてくれる人。
言わずとも整えてくれる人。
そんな存在に、人は自然と「また頼みたい」と思うのではないでしょうか。

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