私たちは見たいものだけを見ている②
「脳は“見たい世界”しか見ていない?──予測と快感のしくみ」
「怒るための材料」を探してしまう人間。
誰かの一言や、小さなニュースに過剰に反応してしまう私たち。
自分の怒りや不満を正当化してくれるコメント欄。
“やっぱりそうだ”と感じる安心感。
これは偶然ではなく、脳が「予測どおりの世界」を見たがっているからなのだとか。
■ 脳は世界を「予測しながら」見ている
私たちの脳は、外からの情報をそのまま受け取っているわけではありません。
- 「こうなるはず」
- 「こう見えるはず」
こうした脳内の“予測モデル”をもとに、現実を解釈していると言われています。
この考え方を「予測符号化モデル(Predictive Coding)」と呼ぶそうです。
■ 世界観が違えば、見えるものも変わる
たとえば:
- 「この世界には素晴らしいことが多い」と信じている人には、優しさや希望が目に入りやすくなり、
- 「この世界はどうしようもない」と考えている人には、怒りや不正が目につきやすくなる。
これは“現実”が違うのではなく、脳が「何をピックアップし、どう解釈するか」が人によって違うのです。
→ 結果として、人は“見たい世界”を見ている。
■ SNSが「やっぱり」を提供してくれる理由
SNSやニュースサイトでは、怒りをあおる話題が目につきます。
その背景には、**脳の「やっぱり欲求」**があります。
- 「そう思ってた通りだった」
- 「やっぱりな」
- 「みんな同じ気持ちだ」
この「予測どおりで安心する」という感覚は、**脳にとって小さな報酬(ドーパミン刺激)**になるそうです。
私たちはまたその快楽を求めて、次の“やっぱり”を探しに行きます。
■ 予測は、私たちの現実を作り出している
現代の私たちは、
見ているようで、
選び取り、解釈し、“構成された世界”を生きています。
だからこそ、ときには——
- 「自分は何を“見ようとしている”のか?」
- 「その“やっぱり”は、脳へのジャンクフードではないか?」
そんな問いを持つことが、より広く、より豊かな現実を取り戻す鍵になるのかもしれません。